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エアリス誕生日記念SS:第三弾 


エアリス誕生日までのカウントダウン、三日目!

本当はクラウドとの話を書く予定だったのですが、
思った以上に難産でまだ出来ておらず、
出来上がっていたセフィロスとのSSと順番をバトンタッチorz
タイトルは『夢を語る人』。
エソラゴト様より語る人で五題から頂きました。

それでは続きよりどうぞ。



夢を語る人(セフィロスとエアリス)


 結局、あの小生意気な娘は、何一つ理解してはいないのだ。
 セフィロスは冷たい翠の瞳で、天井の隙間から入りこんだ日光に照らされる黄色の花々を蔑むように見つめていた。
(愚かな。ただ愛でられるだけの弱者が魔晄を吸い取るなど、無駄な循環極まりない)
 幼い自分を育て、結局は捨てたガスト博士が昔、自分に読ませた――今となっては下らない、児戯にも劣る本であることに違いはないが――図鑑に載っていた花。
 まばゆく、毒々しいほど赤く、鋭い花弁を持つそれこそこの世界にはふさわしいのだ。
 セフィロスは大層丁寧に育てられている黄色の花々を踏みつけ、噎せ返る花の香の中心で目を瞑る、と――
 刹那、双眸を開ければ黄色に満ちた花畑が、瞬く間に深紅のそれへと変わっていた。
 それは、セフィロスが最も見慣れた色。
 血の色であり、炎の色であり、今の自分が最も欲する色であった。
(満ちれば良い。この色で、世界が再び。我が星が、母と共に宇宙へ漂うために)
 狂気の夢に酔いしれたまま、星を征する男はどこか背徳を感じさせる笑みを満足げに浮かべた。


  ○ ○ ○


「……うーん」
 セフィロスが消えた後、幻影となって教会に降り立ったエアリスは、マリンやティファが毎日世話をしてくれている花畑のあまりの変容に、しかし呆れた顔をしてつぶやいた。
「知ってるのかな、この花のこと」
 あの神気取りの男のやることなすこと、全てエアリスには理解できず、いや、理解などしたくもないが、ともかく今回の行動は常軌を逸しているとしか彼女には思えない。
 咲き乱れる赤の花。血のように深く、尖った花弁を持つその花は、一見して他人を拒絶するような雰囲気を醸し出してはいるが――
「……やっぱり、わからん」
 エアリスは腕を組み、あの男の気配を探る。
 わからないことをほっぽといておくことを、エアリスはあまり好まない。知りたいことは身を張ってでも知る、それが生前からの性格だ。
 だから直接聞けばいい、とはさすがに安直過ぎなのかもしれないが――
 首をかしげ、左右にそれを繰り返した後、エアリスはセフィロスの気配を感じ取る。
(あ、今はだいじょぶな感じ。英雄バージョンの方だ)
 どうやらセフィロスの精神面は安定しているらしい、と感覚で理解したエアリスは、セフィロスが先程そうしたように瞬時に望む場所へと移動した。


  ○ ○ ○


 あの男は【母さんver】と【英雄ver】に分かれている、とエアリスは勝手に考えている。
 とんでもない大バカなこと――星を乗り物にして宇宙に行こうとしたりとか、クラウドの尻を追っかけ回したりとか――をやらかす時の彼は、大抵前者の気が強い。元々英雄と呼ばれ、讃えられていた彼がまともな性格をしていることを知ったのは、ライフストリームからの情報と、数回まともな【英雄ver】の時に顔を合わせたことがあるからである。
 もちろん全て、殺された後のことだが。
「あなた、あの花のこと知ってて、あんな風に、したの?」
 だからこそ【英雄ver】として大人しく――もとい、ぶっきらぼうでつっけんどんな態度を取るセフィロスの前に現れ、普通に話しかけることが出来るのだ。
「……花?」
「そ」
 セフィロスは多少考えるように唇に指を当てた。
 【母さん(ジェノバ)ver】の時の記憶が、【英雄ver】の時の彼には薄くしか残らない……らしい。
「あの教会のことか」
 しばらくの後、合点がいったのか、どこか不機嫌な顔でセフィロスはエアリスに向き直る。
「何、その顔。別に、文句言いに来たんじゃ、無いんだけど」
「……ではなぜ私の元に来た」
 セフィロスはジュノンにある神羅カンパニーの砲台――無論、それは彼が作り出した幻影の風景なのだが――に腰かけながら、どこか遠い目で夕暮れの空に視線をやった。
 エアリスが見るに、どうやら【母さんver】になった後の【英雄ver】セフィロスは、えらく機嫌が悪い時が多い。それは、己の矜持がジェノバという存在に食われ、自我を操られていることに原因があるのかもしれないが……。
(そのせいで死んだ私としては、いい迷惑、ね)
 などと思う心と裏腹に、エアリスはセフィロスの後ろにそっと、座った。セフィロスは片眉を吊り上げ、首だけでエアリスの方を向く。
「何をしている」
「座ってるの」
「……それは見ればわかる。ここは私の領域だ。お前が来る場所ではない」
「人の領域、侵したくせに?」
 わざとらしく恨みがましさをこめて教会の件を出せば、セフィロスは表情を消し、無表情で黙り込んだ。申し訳ないと思っているのか、それともどうとも感じていないのか、その顔からは何も読みとれない。そしてまた、遠くを――もしかしたら誰かを――思い出すかのように動かぬ空を見つめ、今度こそ完全にエアリスを疎外した。
 ざっくりと、半分に切られた砲台と、赤い、真っ赤な夕暮れ。
 エアリスはよくいろんな風景を思い出し、そこで過ごしたりするが、セフィロスの場合、この夕暮れの砲台をイメージすることが多かった。よっぽど思い入れが強いのだろうか、それはエアリスにはわからないけれど。
「……あの花ね」
 風も吹かない、太陽の暖かさもない、ただ形だけの風景に飽きて、エアリスは言った。
「イクソラ・コッキニアって名前なの」
 セフィロスからの答えはない。
 だからこそ、笑った。
 セフィロスはその花の形や色を知っていても、事細かな部分までの知識は得ていないと理解して。
「でね、コッキニアの花言葉は、ね」
 四つん這いになり、エアリスはにじり寄るように、遠くを眺めるセフィロスの横顔を覗き込む。
「『私を見て』、なのよ」
 その時一瞬だけ、セフィロスの顔が強張ったかのように思えた。
 刹那の逡巡を逃さず、エアリスはクスクス笑って宙に浮かぶ。
「リクエスト、聞いてあげる。見ててあげるね、あなたのこと、ちゃーんと」
 唖然、愕然とが混じった顔で自分を見上げるセフィロスが何かを言い返してくる前に、エアリスはすばやくその場所から姿を消した。


  ○ ○ ○


 やっぱり、花のこと、何も理解してなかったんだなぁ。
 エアリスは見慣れぬせいか、教会の厳かな雰囲気には似合わない――けれどどこか斬新で、妙な明るさを感じさせる赤の花畑を見つめ、苦笑した。
(今度、お花、一緒に育ててみようかな)
 もちろん【英雄ver】の方と、だけど。
 エアリスは、自分たちが育てた花が真っ赤な別種のものになっていることに驚いて騒ぐ、ティファとマリンを見下ろしながら、セフィロスの強張った顔を思い出し、一人楽しげに肩を震わせた。








お題配布元→エソラゴト様
***砲台はFF7CCで、ガックンが朗々と詩を披露したところです。
     母さんセフィロスと英雄セフィロスの人格設定は適当です、すみません。
     今度はセフィロスに絶望(バカ林檎)を送るエアリスが書きたい…。

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2010/02/05 Fri. 18:12 [edit]

Category:  ◆セフィエア

Thread:二次創作  Janre:小説・文学

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