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赤くて大切なもの 

XENOSAGA、Jrの不運?の一日です。
多少ケイ→シオ←コス風味ですのでお気を付け下さい。



赤くて大切なもの


 ――てなわけで、六月六日ってのはすなわち俺の――……。

 エルザのキャビン前の通路。別に何もすることがなく、手持ち無沙汰になっちまっていた俺は、話し相手でも探そうかとそこいらをぶらついていた。
 いつもだったらモモ辺りが遊びに来るのに、今日はそんな素振りすらない。口やかましく連絡してくるメリィやシェリィも、何でか、今日に限っては音沙汰なし。
 ま、別にいいけどよ。毎日毎日、悪の組織と戦う戦士にゃ休息が必要なんだし……間違っても『成長のための昼寝』が必要ってわけじゃないんだからな!
 昔、知人に言われた言葉を思い出してむかっ腹を立てつつ、俺は目の前の角を曲がり――……
「どうしてそういう言い方しか出来ないんだい? 君は」
 その直後聞こえた、穏やかな口調だが確かに剣呑な言葉に、俺はその場に凍りついた。
 聞き覚え……というより聞き慣れた、この柔らかでボケボケとしたスローな声。
「この状況下において、人間関係を円滑にする行動をとる必要があるとは認識できません」
 ……そして、氷点下で食らうかき氷というイメージをそのまんまにしたかのような声。
 ――ああ、うん、間違いねぇや。こりゃ……いつもの……。
「いいよ、円滑にしなくても。というより君、本当は誰に対しても円滑にしようとなんてしてないんじゃないのかい?」
「それは貴方が判断することではありません」
 売り言葉に買い言葉。
 こうなったらもう、歯止めが利かないんだ、『奴ら』は。
「おぉーい、何騒いでんだよ――ケイオス、Kos-Mos」
 俺は慌てて通路の角から飛び出し、通路の真ん中で火花を散らしてる二人に声をかけた――瞬間。
「ごめんJr、今取り込み中なんだ」
 振り向きざまに輝くケイオスのスマイル。
 うわぁ、にこやかに俺のこと拒絶したよコイツ。
 Kos-Mosに至っては、……素無視ですか。そうですか。
 出鼻をくじかれた(てかへし折られた)俺は、青筋を立てないようなるべく努力しながら二人の様子を観察した。
 どうやら二人が会話を始めたのは俺が来るちょっと前からだったらしい。その証拠にエルザには幸い、損壊部分がなかった。
 ……借金増えずでよかったなぁ、船長。
「君がどういう行動を取ろうと、それはまったく構わない。でも、今はそんなことを論争してる場合じゃないだろう?」
「はい。あなたと出会って既に三百八十二秒、経過しています」
 ――なぁんて思ってる間に、二人の間に垂れ込めた暗雲はますます重くなるばかり……。
 二人――ケイオスとKos-Mosの表情はそれぞれ対照的だ。
 いつもと変わらない、にこやかな微笑を浮かべているケイオスと、やっぱりこれもいつもと同じ、無表情なKos-Mos。
 ……はっきり言おう。
 ……怖ぇんだよ、お前らっ! 
 そう、こいつらはいつもこうだ。顔と感情が裏腹。だから余計恐ろしい……どこまで本気か、殺る気があるのか、わかんねぇから。
 前なんてウチの……クーカイ・ファウンデーションの発着ランチでにこやかに殴り合いしてたし。ビーチでも確か、オイル塗りの件でどーとか……そういや天の車ん中でも殺りあってたな、確か(宇宙全土の命運がかかってたということは頭にないらしい)。
 全部、理由はただ一つの要因なんだけどよ。
「これ以上の時間の経過は互いに不利益をもたらします――そして同時に私は、貴方との会話全てを無駄と認識しています」
「それはおかしいよ。どこか壊れてるんじゃないかな? シオンに申告してあげるよ。だから居場所、教えて」
「お断りします」
 …………。
 シオン。
 ああ――やっぱり今日もそれが原因か……。
 二人の間を取り巻く暗雲――そこからいつ、放たれるかわからない落雷の予感に内心怯え……いやいや、身構えておきながら、俺はこっそり溜息をついた。
 シオン・ウヅキ。この二人が険悪になるとき、百発百中、シオンの存在がある。
 どうやらケイオスはシオンに好意を抱いてるみたいで、そりゃもう、傍目にわかるほどのアプローチぶりだ。あのアレンに毒を盛られるくらいに(ま、アレンのやつ、逆に毒飲み込んじまって一回昇天したけどさ)。シオンも別に嫌……じゃねぇのかな? それとも、気付いてねぇのか――ともかくそれを拒むことはあんましない。
 で、それを見たKos-Mosは逆上。シオンは『この子には感情がないの……』とか悲しんでたけど、いやいや、なかなかどうして凄いですよ、お宅のお嬢さん――って言ってやりてぇほど、シオンとケイオスが仲良くなることにむかついてるらしい。
 Kos-Mosはシオンを守ることを最優先任務だって言ってたから、よっぽど『ケイオスはシオンに害をなす存在』って感じに見えてるんだろうなぁ、多分。
 ……ちなみに、いつも二人を止めるのはこの俺の役目。シオンはしない。というか、二人の確執に気付いちゃいねぇんだ、実は(そこがますます厄介)。だからこの俺が仕方なく……二人の間を取り持ってやってるわけ――なんだけど……。
「何だ、シオン、いないのかよ」
 シオンがいなくちゃ止めるのも一苦労――って意味で何気なく言った言葉。
 その言葉に二人の冷たい瞳が一斉にこちらに向けられた。
 ……ウ・ドゥに汚染されそうになったときより怖いと思うのは気のせいであって欲しい。
「Jr、君、もしかしてシオンに用なの?」
「ち、違っ……」
 冷たい瞳のまま微笑むケイオス。うわ、マジ怖い。マジでやばい、マジで。
「……まあ、でも、無駄だよ」
「――お?」
 それ以上何もされないことを疑問に思う俺の前で(いつもは菩薩掌が来る)ケイオスはその瞳をKos-Mosへ向けた。
「この怖い番犬さんがシオンの居場所、教えてくれないからね」
 番犬ってオイ。
「ケイオス。私は犬ではありません、ただの兵器です」
 うわあ、真面目に答えちまったよコイツ。
「もし本当に私が犬に見えるのだとしたら、眼科、ならびに脳神経外科他もろもろの医療機関を訪問することをお勧めします」
「あはは、そんなわけないじゃないか。冗談だよ、冗談。君って本当、融通が利かないんだね」
「貴方に対しての特別プログラムを試行している結果です」
「それは嬉しいな。……でも、もう、限界だよ」
 ……だめだな、こりゃ。
 繰り返される二人のやり取りに俺はこっそり溜息をついた――と……。
「こうなったら意地でもシオンの居場所を教えてもらう――よッ!」
「うわっ!」
 刹那、俺の目を焼く閃光――ケイオスの掌から放たれた光だ! 
 ケ、ケイオスの奴、戦闘態勢に入りやがった!
「……全戦闘システム、フル・モードで対処します」
 うああ! Kos-Mosの奴ももう腹ビームの準備してやがる!
「ちょ、ちょっと待てよお前らっ」
 このままじゃ俺が、危ない。
 そう思って俺は二人の間に割り込んだ。
「Jr……危ないよ」
「Jr、下がってください。でなければこのまま続行することになります」
 しないでくれ、頼むから。
 俺は一応、愛用の拳銃を構えておきつつ、
「あのさ……もう少し穏便に進めようぜ、二人とも」
 なんて、ガイナンのようなことを言ってみつつ、二人の顔を交互に見やる。
「ケイオス、お前の用件って、とり急ぐのかよ?」
「急ぐって言うか――ファウンデーション内に、お洒落ないいお店を見つけたんだ。シオンと一緒に行こうと思って」
 と、ケイオスのにこやかな微笑。
「早くしないと、満席になっちゃうかもしれないからね」
「…………」
 ――俺は思った。
 こいつ、アホ毛がなくなってもアホなまんまだ。
「そ、そんな下らないことでお前エルザを――!」
「下らない……?」
 あっ! ヤ――ヤベェ。つい、口が滑って……!
「Jr……君、今、くだらないって、言ったよね?」
 あ、あ、あぁぁっ、マジヤベェ。目、座ってる! 笑顔だけどわかるぞ、俺には! その腹黒さが!
「こここここKos-Mos!」
 手を構えるケイオスに恐れを覚え、俺は咄嗟にKos-Mosへ向き直った。
「お、お前は何で、その、ほら、えーっと、……そう! シオンの居場所、教えてやらないんだよっ」
 Kos-Mosは、無言。Kos-Mosを見る俺の視界の端で、ケイオスが手を下ろすのが見えた。……良かった、何もされなくて。
 さ、気を取り直して――と、俺はコホンと一つ、咳払い。それからケイオスを親指で示し、
「ほら、ケイオス、たいした用事じゃねぇだろ? ならいいだろ、別に、教えても。どうせお前、シオンの仕事の邪魔になるからーって、教えて……」
「違います」
 にべもなく否定するKos-Mos。その声も、顔も、いつものように無表情だ。
「シオンは、目的地――ならびに現所在地を誰にも言うなと言いました」
 ……?
 何だそりゃ、と俺は小首をかしげ、ケイオスを見た。どうやらケイオスもこの情報は初耳だったらしく、その目を瞬かせている。
 誰にも言うな――ってことは、秘密にしろってことだよな? 要は。
「何で?」
「理由も言うなと言われました」
 ん、ということはKos-Mosは――シオンがいない理由を……?
「……そう」
 ぽつり、と呟かれる声に、俺はびくりと体を震わせ、振り向いた。
 そこには――
「言うな、ってことは……君はシオンの秘密を知ってるわけだね……?」
 ……言わずもがな、全身から青い気を漲らせたままうつむいているケイオスがいた。
 ああ――もうこいつ完璧アホだ。シオンの秘密、ってどこをどーしたらそういう考えに行き着くんだよっ、お前!
「知っているとしても、貴方に教える義務はありません」
「うん、わかってる。わかってるよ、Kos-Mos――」
 呆れる俺を余所に、二人の間に再び暗雲が垂れ込め始める。
 にらみ合う二人――笑顔と、無表情のままで。
「だったら……もう、方法は一つしか、ないよね?」
「現在、私の任務はシオンの秘密保持に当たります。それに関連しての戦闘であるならば、こちらが拒否する理由は見当たりません」
 カーン。
 ……って感じでゴングが聞こえた気がした。ああ、ネピリムの歌声のほうがまだましかもしれない……って、そんなことはどうでもいい!
「ちょっ、ちょっと待てってば! 冷静になれよ、二人――」
「行きます! R-BLEAD!」
 静止しようとした俺の頭を掠めてKos-Mosの刃がケイオスを襲う!
「甘いよ、Kos-Mos! 雷斬掌!」
 それを交わしたケイオス、交差させた両手から雷を放ち――が、Kos-Mosは両手を広げてそれを……あぁぁぁ! きゅ、吸収してやがる――――っ!
 その目は何か、青いし!
「くっ……そう、それが――本当の、君の、姿……」
 何が言いたいんだ、ケイオス。
 エネルギーの本流にかき混ぜられる大気――内壁がはがれ、空気は薄くなる中、Kos-Mosだけが平然と立っている。
「……貴方の傷みを私に下さい」
 え、それって『貴方をボコリます』宣言?
 うわっ、俺のコートに雷が! ドリルが! あ、か、髪の毛だけは止めてくれ! 親父みたくデコハゲにはなりたくないんだよっ。
 俺の目の前で繰り広げられる死闘(正確に言うと俺を挟んで、だな)。一つ技が繰り出されるたびに壁や床が十、破壊されていく……ま、当然だけどな。片や対・グノーシス用の最新兵器、片やグノーシスを掌一つで消せる力の持ち主なんだ。エルザが一度で吹っ飛んでないだけでマシかもしれない。
 けどこれは、そろそろ本気で止めねぇと、まずいな。
 俺は愛用の銃を構え、二人の力が分散する瞬間を見極めて――
 ……今だっ!
「お前ら、いい加減に――!」
 交差しようとする二人の間に入るように滑り……
「な、何これっ!」
『!』
 込んだ瞬間、聞こえた声に二人がぴたりと止まる――ってことは俺が向かいの壁に激突するゴフッ!
 ……ずるずるずる――と顔面を壁にこすりつけたまま脱力する自分が情けない……。
 ああ、どくどくと……どくどくと流れ出てる……俺の赤くて大切なものが……。
「二人とも、一体どうしたのよ、この有様!」
「ひ、ひどいです……何でこんなことに……?」
 くらっくらする俺の頭に、聞きなれた――そして今、一番聞きたかった声が届く。
 よ、ようやく二人のストッパーが……姿を……現して、くれた、か……。
「やあ、シオン……にモモちゃん。どこに行ってたんだい? 探したよ」
「そ、そういうことじやなくてね、ケイオス君……」
「あっ! Jrさん!?」
「え? ……っ、Jr君! 一体どうしたの、そんな所で!」
 お宅の娘さんが原因なんです……なんて言えない。
「シオン、それより今から……」
「ねぇ、ケイオス君。Jr君、どうして壁に突っ伏して座り込んで――って、大変! 鼻血まで出てるじゃないの! 一体どうしたっていうの!?」
「ああ……あれなら心配ないよ、シオン。僕たち、Jrに誘われてガンマンゴッコの相手をしてたんだ」
 ……へ?
「で、『全力出さないといつまでも終わらせないからなー』なんていうもんだから……」
 ……もしもし、ケイオスさん?
「そ、そうだったの……? どうりでひどい有様なわけだわ」
「うん、僕も少しやりすぎたって反省してる。……ついつい、Jrと――Kos-Mosにつられちゃってさ」
 う――うわぁ……コイツ、マジで黒い。黒すぎる。俺とKos-Mosのことダシにして自分の株、上げようとしてやがる……。
「もう、Kos-Mos! ダメじゃない、時と場所を考えて行動しなきゃ! 遊びにしろほどがあるのよ!?」
「……申し訳ありません、シオン。
 しかしながら、この周辺の損傷、ならびに破損の約八十九.六二パーセントは全てJrの攻撃によるものだと推測されます」
 嘘つけ――――――っ!!!
 百パーセントお前らの攻撃でじゃねぇかっ! ……と、さすがに堪忍袋を切らした俺が立ち上がろうとし――
 ……ふらっ、と視界が反転する。
 あ、ヤベェ――と思ったときには既に遅い。俺はその場にしゃがみこんでいた。
「Jrさん!」
「Jr君!?」
 立ち上がれねぇ……随分強く、頭、打っちまったみたいだ……。
「Jr君、大丈夫?」
 片膝をついた俺の横から、さっと細い手が差し出される。シオンだ。顔を上げると、そこには心配そうに揺れているシオンの緑の瞳があった。
「あ、ああ――ワリィ」
「Jrさん……ひどい怪我」
 隣には涙を浮かべるモモの顔。……何でだろう。俺は悪くないのに非常に罪悪感を感じるのは。
「もう、Jr君、お遊びが過ぎるわよ。せっかく二人でお祝いの――」
「シオンさん!」
「あっ」
 モモの咄嗟の声に、シオンは慌てて口をつぐんだ。
 ……? お祝い――って、何だ?
 訝しげにシオンを見直す。と、そのシオンの横には小さな紙袋があった。
「お祝い……シオン、それ――」
 紙袋とシオンの顔を見比べると、シオンはモモに向かって申し訳なさそうに肩をすくめた。
「もう、シオンさん、秘密にしてようって言ったのに!」
「ごめん、モモちゃん……でも、ま、どっちにしろ、ね?」
 片手を挙げて謝罪し、それから俺の方を見て――にこりと、微笑む。
「Jr君、お誕生日おめでとう」
 ――え?
「おめでとうございます、Jrさん!」
 ――はい?
 二人の花の咲いたような笑顔に、俺は目を点にするしか出来ない。
 誕生日……ったって、俺はU.R.T.V――人工的に生み出された生命体であって、そんな……。
「……!」
 と、そこまで考えた所で思い出した。
 以前、代表理事の一人になるため、偽の戸籍謄本を作ったことがある。項目の大半がでっち上げで、その中には誕生日の項目もあって――
 コード666から、六月六日に指定したんだ、確か。
「そうか――今日は……」
「そうかって……Jrさん、自分の誕生日、忘れちゃったんですか?」
 いや、つい。っていうよりも偽の誕生日だしな……。
「もう、ひどいわね。せっかくシェリィさんたちもお祝いの準備、してくれてるっていうのに」
「あ――あ、ああ……うん、そ、そうだった。ワリィワリィ」
 なるほど、どうりでメリィとかが連絡してこなかったんだな……よくよく考えてみると、この時期、よくパーティを開いてくれてたっけ、あいつら。
 じゃあ、シオンがいなかったのも……俺へのプレゼントを買うためだった、ってことか?
「でも、ここをこんなにした罰に、プレゼントの中身はまだ教えてあげないわよ」
 頭を掻く俺に、シオンはエーテルサーキットを開き、ナノ治療プログラムを展開してくれた。
 そんな子ども扱いされても――ってまあ、シオンからして見りゃ十二歳のガキなんだろうけどさ、実際。
「……はい、終わり」
「おっ、サンキュ」
 少し後、俺の鼻血は完全に止まっていた。にこやかに微笑み、シオンは紙袋を持ち、立ち上がる。
「じゃあ、私たち、これからパーティの準備してくるから。……それまでにちゃんとここ、片付けておかないとダメよ?」
「楽しみにしててくださいね、Jrさん! モモ、手料理、頑張りますから!」
「ああ――ありがとな」
 二人の嬉しそうな笑みに、俺もつい、頬が緩む。
 偽りの誕生日だけど、祝ってくれる人がいるってことは……何て言うか、気分がいいモンだよな、うん!
 俺はそんなことを思いながら、小さくなる二人の背中を見つめ――
「……Jr」
 ――て……。……て。……て……。
 ……後ろから……恐ろしいほどの殺意を感じるのは――俺の感覚器官が異常なせい、なのか……?
「ふぅん……君、誕生日だったんだね」
「データベースで検索してみたところ、確かに今日、六月六日、ガイナン=クーカイ=Jrの誕生日と公式記録にはあります」
 ……ふ、二人の声に俺は――ゆっくりと、……あくまでゆっくりと、後ろを――向いた……。
「おめでとう、Jr。僕もお祝いさせてもらうよ」
 ケイオス。満面の微笑。
 光る掌。
「存在を確認する行為としての企画というものには意義を感じませんが――おめでとうございます、Jr」
 Kos-Mos。いつものように無表情。
 ドリルの手。
 二人は、一歩、近づく。そして俺も『近づく』。何にって? ……決まってるよな……この展開なら、さ……。
「君の誕生日のおかげで……シオンと二人になる機会が、なくなったんだから」
「シオンには私の調整が約三十八項目化せられています。その作業達成を考えると、貴方へ費やす時間は非常に有害になるかと思われます」
 手が……光る掌とドリルが、俺の目の前に、突き出されて――
「僕からの誕生日プレゼント。受け取ってね、Jr」
「“心”よりお祝いします」



 ――その瞬間、俺の意識は闇に呑まれた……



(……ナ、ガ――イ、……ン)
「……? Jr、か?」
(出て……るんだ――)
「どうした、ルベド? 一体何を――」
(赤くて――大切な、もの……が……)
「――は?」
(赤が……白に、なるんだぜ……ガイナン……)
「……おい、Jr――」
(……今日、何の日か――お前、知ってる……?)
「今日――六月六日……公式記録でのお前の誕生日だろう」
(――違うな、ガイナン……今日は、俺の……俺、の――…………)
「……Jr? おい、Jr。……ルベド! どうした、何があった。コンタクトを切るな! オイ、ルベ――」



 ……六月六日、クーカイ・ファウンデーション代表理事ガイナン=クーカイ=Jr誕生日。
 ――にして、命日、と公式記録には残されている。


 


 


 *うちのJrは大体こんな感じ。不憫。

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2010/01/17 Sun. 00:38 [edit]

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Thread:二次創作  Janre:小説・文学

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