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XENOSA~所詮、全ては強がりか(コスシオ?) 

コ・コ・コ様からお借りした御題・孤高と孤独の違いについての6の考察から。

心を持ったkos-Mos。
そのことに対し、シオンは……。
ちょっとコスシオ風味。
続きよりどうぞ。



【所詮、全ては強がりか】


 神格化されあがめ奉られたとしても、人でなき強靱な体を持ったとしても、心の脆さは無くなるわけがない。
 不安、悲しみ、恐怖。
 人であれば誰もが抱えるアンビバレンツやジレンマ、ストレス。
 それを覚えたところで、涙を流したり冷や汗をかいたり、ましてや体を震わすことも許されないのだ。
 今の己には、みな。

『私は人間ではありません。ただの兵器です』

 昔、古来の親友であった――そして今では己を作り上げてくれた『創造主』に放った言葉。
 言い聞かせるように繰り返す。
 私は兵器。だから、へいき。ただの兵器。だからへいき。私は兵器。だから、平気。
((でも、本当に?))
 心の自分が問い、無意識に己の手を見つめた。震えも発汗もせず、体温すら感じない冷たい機械の手のひら。
(……そんなの、嘘)
 Kos-Mosはマリアとして目覚めて、はじめて『心』という存在を疎ましく思った。

「Kos-Mos?」
 一人、何かを考え込むようにパーティの後ろを離れて歩いていたKos-Mosに気付いたのは、他の誰でもなくシオンだった。
「どうかしたの? 体の調子、変?」
 他のメンバーに気付かれぬよう、歩調を落としてKos-Mosの横に並び、その顔を見つめる。
 Kos-Mosはシオンの気遣いに小さく唇の端をあげ、頭を振った。
「大丈夫です、シオン。ありがとう」
「それならいいんだけど……」
(ありがとう、か)
 Kos-Mosの声はマリアの意識と統合される前より柔らかく、優しい。
 遙か昔、ロストエルサレムで出会ったときの記憶がよみがえる。
 マリアはいつも穏やかに微笑んでいた。その伴侶たるメシアの分まで、補うくらいに。
 その微笑みと以前のKos-Mosを比べてみれば、なんともまあ、違うことか。
 シオンは思わず、クスリと笑い声を上げた。
「どうかしましたか?」
「ううん、ちょっと昔のことを思い出しちゃって」
「昔?」
「あなたと出会ったときの頃……ロストエルサレムの時なんでしょうね、きっと」
 マリアのこと、メシアと呼ばれた彼とその弟子たちのこと――シオンが思い出せたことは決して多くはない。
 その中ではっきりと意識できているのは、やはり身近にいたマリア……もといKos-Mosのことで。
 ずっと己の側にいた彼女は、シオンにとって特別な存在なのだと思わせる。
 だが、だからこそ。
「……ねえ、Kos-Mos」
「なんでしょう、シオン」
 シオンは立ち止まり、その蒼い瞳を見る。
 柔らかく、穏やかで――けれどどこか揺らぎを秘めた、神秘的な目を。
「あなたは……怖く、ないの?」
 シオンが放った一言に、一瞬、Kos-Mosの肩が震えた――そんな気がした。少なくとも、質問を投げかけた本人から見たら。
「……なぜ、そのように思うのですか」
「だって……今のあなたには『心』があるから」
 Kos-Mosのどこか、硬質的な口調に、シオンは立ち止まってうつむいた。
「私は、あなたに心があって、感情があればいいって――ずっとそう思ってた。ううん、そうなった今でも、嬉しいと感じてるわ」
 でも、と、己の爪先を見つめたまま、唇を噛み締める。
「それって凄くひどいことよね。心があれば痛みを……恐怖だってもちろん感じるはずなのに――」
 ヴォークリンデで自らの価値は戦うこと、と言いきった、あの戦闘レアリエンの青年を思い出す。
 彼には確かに自我があった、シオンはそう考えている。そしてそれによって自分が救われたことも、彼が自分の意思で死んでいったことも、理解していた――つもりだ。
 けれど、痛みは感じなかったのだろうか。
 死に逝く恐怖を、覚えなかったのだろうか。
 それを考えると、Kos-Mosが戦う姿を見るのが辛い。
 今まで感じてなかったであろう気持ち、感情を抱きながら――彼女は戦い続けているのだから。
「……ごめんなさい、Kos-Mos」
 大切な友であり、娘のように思えていた彼女への贖罪は、自分への嫌悪と相俟って、己で思った以上にか細く、小さかった。

(どうして)
 友の言葉が、Kos-Mosの『心』に緩やかに響き、取り戻したばかりの感情を揺さぶる。
(どうしてシオンは、わたしのことがわかるのだろう)
 驚きと、それにも勝る哀しみにも似た喜び――
 Kos-Mosは目を見開いて、辛そうな顔でうつむいたままのシオンを見つめる。
(違う、彼女は昔からそうだった)
 自分が隠した、封じた思いや感情を汲み取り、そっと支えてくれる――それが、シオンという存在だった。
 だからこそ、Kos-Mosはマリアとしての役割も、メシアの伴侶としての立場も、膝を突くことなくこなしてこれたのだ。
 そして、今も、また。
(シオン……)
 心の奥底から沸き上がる安らぎ。戦うこと、痛みを感じること以上に強い想いがKos-Mosの体を駆け巡る。
 刹那、Kos-Mosの腕は無意識のうちにシオンを軽く抱き締めていた。
「えっ……」
 腕の中、シオンが身を強張らせる感触、それすらとてもいとおしい。
「ありがとう、シオン」
「Kos-Mos……?」
「あなたはいつも優しいですね。昔から変わらず、ずっと」
 力を加減して、自分より遥かに脆く、柔らかいその体を包みながら、Kos-Mosは目を瞑る。
(あなたと離れることが辛い)
 体の痛みより、死への恐怖より何より。
(あなたが苦しむことが辛い)
 Kos-Mosはそれが、嫌だった。
「シオン。わたしは……あなたの心が感じられたから――」
 『心』を持つのも、悪くはない。
 Kos-Mosはそっと体を離し、かけがえのない友に微笑む。
「だから、わたしは、へいきです」
 返されたシオンの笑みはまるで泣き出しそうなそれで、Kos-Mosの『心』を震わせるけれど。
「大丈夫です、シオン。わたしは大丈夫――」

(そう、わたしは、大丈夫)
 この友を守るためならばと、そう感じる心に幾ばくかの強がりを乗せて、Kos-Mosは強く、きつく、己に聞かせるように言い切った。
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2011/01/13 Thu. 16:20 [edit]

Category:  ▼XENOSAGA

Thread:二次創作  Janre:小説・文学

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