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It is special (FF6ティナ) 

決戦を前に、ティナの思うところは……。


以前『ティナアンソロジー』にて書かせて頂いたものです。
ロック×セリス描写あり。
シリアス。

続きからどうぞ。

 It is special



「……『特別』」



 いくら崩壊し、退廃した世界の中で唯一全うな機能を残している大国の居城とて、深夜となれば陽の明りの下にない静寂を取り戻すのは必然。不気味なほど大きく、さりとも美しい月光に抱かれ、機械大国フィガロの城は眠る。
 ……が、中にはその闇をすら安息とするものがいるわけで――いや、そうではないのだろう。何故ならそこを、薄い暗闇に満ちた通路を歩くものの足は、まるで濃霧の中をさまよう迷い人であるかのようだったから。
 その迷い人――透ける緑の髪を持つ少女は、どこかおぼつかない足取りで赤い絨毯の引かれた通路を一人、歩き続けている。
 砂漠の夜は寒い。無論、世に名だたる機械大国であるフィガロの城のこと、暖房装置は整えられてはいる、が、貴重なエネルギーを無駄に使えぬ今の時勢、すべての箇所で装置を働かせておくことなど出来るはずもない。
 よって、ティナという名の迷い人の口からは、絶え間なく白い呼気が漏れ、肌の露出が多い服装とあいまってだろうか、どこか寒々しい雰囲気をそこら中にちりばめていた。
 はぅ、と一際大きい溜息をつけば、呼気はまるで白いもやのようにたゆたう。孔雀青の色をした双眸はどこか戸惑い気味に周囲を見渡し、しかし辺りを形作る同じ装飾の壁を視界に入れては、失望の色を浮かべるだけだ。
 もう一度大きく嘆息し、ティナは目の前の角を――
「……ね、そうだといいわね」
 曲がろうとした直後、ぴたり、と足を止める。
 人の声――彼女にとっては聞き慣れているはずの女声に、それでもティナは何故か足を止めた。
 そっと角から覗いてみると、突然目を打つ仄明るい光。
 月光に満ちた、バルコニーだ。
 そこに、仲間が――セリスとロックがいた。
 楽しそうに、仲睦まじげに話している様子を、ティナは無言のままに見つめる。
 セリスの笑顔。ロックの笑い声。朱に染まった頬。寄り添う身体――二人の挙動を、そう、会話よりも二人が取る些細な仕草を、ティナはただじっと、その瞳に収めていた。
 ――どのくらいの時が経過しただろうか。ロックが照れくさそうにセリスと唇を重ねた後、ティナがいる通路とは逆の方向に消えていったのを見計らい、
「セリス」
「!」
 ティナがそう声をかけると、セリスは驚くほどの速さで振り返った。
「ティ、ティナ! ど、どうしたの、こんな夜更けに――」
 そういうセリスの顔は真っ赤だった。ティナは小首をかしげ、セリスの様子を眺めていたが、
「色々、考え事があって――眠れなかったから」
 言って、セリスの横に並んだ。
 入り込む風は氷のように冷たい。だが、その冷たさと寒気は砂漠に浮かぶ月を美しく見せる。
「……散歩?」
「うん。それで迷ってしまって」
「迷った、って――もう……貴女らしいんだから」
 セリスは笑い、バルコニーの手すりに手をかけた。砂塵を混ぜた風が二人の髪を弄び、宙に緑と金の彩りを与える。
「……明日は決戦ね」
「うん」
「……怖い?」
「何が?」
 一瞬の、間。
「死ぬかも知れないということが」
 その言葉を機に、二人の間にしばし、沈黙が降りる。
「わたしは、怖いわ」
 セリスの声にはしかし、不安も恐怖も感じられない。
「でも、わたしは信じてる」
「何を……?」
「あの人と帰ってこれる、そのことを」
 あの人、という言葉、そこにある大きな感情にティナはうつむき、考える素振りを見せた。
「それは――ロックのこと?」
「……ええ」
 再びセリスの頬に朱が指し、だからだろうか、ますますティナの瞳は疑問で満ちた。
「『特別』、なの?」
「え?」
「セリスにとって、ロックは『特別』なのよね?」
「……そうね」
「『特別』って、どんなものなの?」
「どんな、と言われても――」
 セリスは目を瞑る。風ではなく、裡に眠る何かを感じ取るように。
「自分の心を、感情を、強く、激しく奮い立たせてくれる……ああ、違うわね。そう、多分……自分がここにいる理由、ここにいるべき証拠――そのものなんだと思う……」
 闇夜に流れる金髪はとても美しく――そのためか、ティナは瞳を細めた。
「そんなものが……『特別』かしら。わたしにとっては」
 はにかむセリスに、だが、ティナは固い顔のままだ。
 硬質な、操り人形だった頃のように。
「……いいもの、なのね」
「そうよ。いいものよ」
 ティナの言葉に微笑み、セリスは踵を返した。
「だから、わたしは戦うの。それを守るために」
 歩きながら言い放つ姿は、さすがに帝国の魔導戦士にふさわしい凛々しさと強さに満ちていて、ティナは笑った。
「……明日に備えて、私はもう寝るわね。ティナも――ああ、部屋の場所がわからなかったのかしら?」
「あ、大丈夫。ロックの部屋の隣だから……もう少ししたら、行く」
「わかったわ。風邪なんて引いちゃだめよ」
 頷くティナに軽く手を振って、セリスはその場を後にした。
 ――バルコニーに残ったティナは一人、天を仰ぐ。
「……セリスは好き。ロックも好き。エドガーも、マッシュも、セッツァーも、カイエンも、ガウも、リルムも、みんな、みんな、みんな、みんな……」
 全員の名前をそらんじても、胸に浮かぶは平行線。どこまで行っても真っ平らで穏やかな、けれど淡々とした感情。
 それは優しくとも、否、優しいからこそ物足りない。
 思考の螺旋に頭を振り、ティナは緩慢に額へ手をやった。
 そこにうっすらと、目を凝らしてでなければ見えないほどの小さい傷――そう、まるで額の真ん中を割るような傷跡が残っている。
 ティナの細い指が跡目をなぞる。そこにある何かに導かれるまま。そこに秘めた何かを掘り返すがごとく。
 ――冷たい風。その傷跡の感触。孤独にも似た静けさ。
 全てが過去を想起させる。
 血の色に満ちた、それでも霧のように手ごたえのない自分の思い出を。
 ……そして、その中で自分へ伸びてくる赤い爪の手は。
 血の色の中で唯一明るい、明るすぎた衣の色は――
「っ……!」
 刹那、胸をかき乱す哀しみにティナは咄嗟に目を閉じ、
 ……は、と気付く。
 甘い感情ではないけれど。安らげる想いでもないけれど。
 己が存在する意味であり、力の在り方を示す道標。
(ここにいるべき証拠――そのものなんだと思う……)
 そう、それこそが。
「あ」
 呼気とともに吐き出されるのは彼女にとっての『特別』な。




「……『ケフカ』」









***私はケフティナが好きです。マシュティナも好きです。
     うちのティナはどこか綾波さん風味。
     笑えるし怒れるし、ぼんやりとした感情はあるけれど、明確なものはない。
     風のような彼女が今でも大好きです。

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2010/06/03 Thu. 15:40 [edit]

Category:  ▼FFシリーズ

Thread:二次創作  Janre:小説・文学

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