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あなたのいろ。 

相変わらず病んでる瀬戸壬生。
いや、瀬戸口はまともで壬生屋さんが病んでます、いつもの通り。
病んでる壬生屋さんが好きな方、
こんな瀬戸壬生でも好きな方、
どうぞお持ち帰り下さいませ。
(その際は当方の名前とサイト名を記入して下さいね)

続きを読むからどうぞ。



あなたのいろ。



「気持ち悪い」

 ――そう壬生屋が吐き捨てたのはあまりに唐突で、一瞬、自分が何を言われているのか瀬戸口には理解できなかった。
「気持ち悪いんです、あなたが」
 瀬戸口の混乱を見てとってなのだろう、壬生屋は静かに繰り返した。
 その顔は能面のように表情がなく、冷たさも、もちろん暖かみすら微塵も浮かばせてはいない。
「……何わけのわからないこと言ってんだ、お前さん」
 怪訝と苛立ちを交えた声で、ようやく瀬戸口がつぶやけば、壬生屋はそこではじめて顔を動かした。
 苦笑に近い、嘲りへ。
「ですから。気持ち悪い、と言っているんです。まさか日本語がわからなくなったんですか?」
 オペレーターの癖に、と続けて悪し様に罵られ、さしもの瀬戸口もようやく気付く。
 喧嘩、と呼ぶには軽すぎるものを売られていることを。
「じゃあわざわざ俺に近付く必要はないじゃないか。まあ、俺だってお前みたいな女に近付いて欲しくないしな」
「嘘つき」
 皮肉げに吐き捨てた言葉すら、壬生屋の一言に立ち切られてしまう。
「では、あなたはどうしてわたくしを見つめているのですか?」
「……は?」
「ええ、いつもあなたはわたくしを見ているじゃありませんか」
 壬生屋の台詞は瀬戸口を混乱させるばかりだった。
 なぜなら瀬戸口は、どうしても馴染むことができず、また不思議と苛立ちや嫌悪を感じさせる壬生屋を故意に避け、無視することが多かったからだ。顔を見るたび悪態をつき、罵詈雑言をぶつけ続けた今、彼女と仲の良い加藤や芝村などは、己を壬生屋とかち合わせぬよう画策しているほどなのに。
 まばゆいほどに晴れたグラウンド、風に乱れた髪をかき上げ、再び表情を無くした女を見やる。
 その顔には清々しさまで感じられ、瀬戸口はだからこそ激しい憎悪に駆られた。
「どこまで頭がおめでたいんだ、お前さん。俺がお前を見てるだと? 冗談にしちゃ出来も質も悪い」
 嫌悪を隠さず、瀬戸口は苦い笑みを浮かべた。
「勘違いも大概にしろよ。俺はお前なんざ見たくもないし、こうして口すら聞いてることにも吐き気がするんだ。気持ち悪い、のは俺の方だよ」
 言われた言葉を強調し、女性や子供――いや、同じ部隊の連中にすら決して見せない嫌悪を笑みに変え、瀬戸口は毒が塗られた言葉の刃を突き刺す。
 ……だが。
「どこまでも嘘が下手な人」
 壬生屋の青い、蒼すぎる瞳には悲しみも、憎しみも、微塵の動揺すら映ってはいない。
(何だよ……何なんだ、一体!)
 チッ、と舌打ちを鳴らし、忌々しげに己の爪先に視線をやる瀬戸口。
 以前ならば、壬生屋は自分が罵声を浴びせる度に涙を堪え、屈辱に心乱されて支離滅裂な反論を繰り返していたはずだ。
 ――だが、今は。
「瀬戸口さん、あなたはなぜ、速水さんのことを気にしておられるのですか?」
 瀬戸口の思考は、相変わらず平坦な声音の壬生屋の問いに遮られた。
「は? ……まあ、そりゃバンビちゃんは可愛いからなあ。ヒステリックなどこかのバカ女と違って」
「それも嘘ですね」
「……おい」
「あなたは、速水さんの目の色がお好きなのでしょう?」
 クスリ、とはじめて浮かべた壬生屋の微笑に、一転して瀬戸口は動けなくなる。
「田辺さんにもお優しいのは、やはり目が青いからですか?」
 先程までとは一転し、楽しげに、コロコロと鈴の音のような笑い声を上げはじめた壬生屋を見、瀬戸口は呆然と立ち尽くすことしかできない。
「ですが瀬戸口さん。あの二人はあなたの求める≪蒼≫などは持っておりませんよ」
「――な、」
 頭の中で、どこか憐憫に満ちた壬生屋の言葉が繰り返される。
 ≪蒼≫、≪蒼≫、≪蒼≫。
 瀬戸口は確かに速水や田辺の瞳が好きだった。
 なぜならそれは、彼が愛した色だから。愛したものの、瞳の色だから。故に瀬戸口は≪蒼≫の目を持つ二人を気にかけていた。
 ブルー・ヘクサだろうと何だろうと、遥か昔に愛し、今でも恋慕う偉大な魔術《シオネ・アラダ》と同じ色を持つ、その二人を。
「……嫉妬か?」
 ようやく壬生屋の呪縛から解き放たれた瀬戸口は、確かに二人と同じ――けれどよく見ればどこか違う、と心の底で警音を鳴らす壬生屋の≪蒼≫い瞳をにらみつけた。
「お前さんが言いたいのは、つまりこういうことか?『わたしの目も青いのだから、わたしの方も見つめて』と。ハッ、浅ましいにも程があるな」
 下らないと苦虫を噛み潰した顔で、瀬戸口は再び言葉のナイフを振りかざす。も、壬生屋はどこ吹く風で天を見上げた。
「お前、人の話を……」
「空の≪蒼≫」
 壬生屋の視線は動く。グラウンド外れに咲いた、小さな花に。
「花の≪蒼≫」
 そしてまた、何の感情も浮かべていない≪蒼≫い瞳で、瀬戸口を見返す。
「大気に満ちる精霊たちの色も、≪蒼≫」
「……!」
 壬生屋はそっと目を閉じ、静かに自らの瞼に触れる。
「わたくしの瞳の≪蒼≫はそれらです。作られたものではない、自然の≪蒼≫――」
 そして壬生屋は目を開く。嚇怒に似た怨嗟を瞳に宿らせて。
「あなたはいつも遠くを見るがごとく、人の≪蒼≫を見つめていますね」
 壬生屋は表情だけは全く動かすことなく、それでも瀬戸口を瞳と台詞の二つの針で詰問する。
「浅ましいのはどちらでしょう。偽りを愛で、真実に手を伸ばす勇気すら持たない貴方と、それに向かい合っているわたくしと」
「み、ぶ」
「あなたは卑怯者の上に恥知らずです。本当に気持ちが、悪い」
 女子にあるまじきことに、壬生屋は唾を吐き捨てた。
 自分の裡を見透かされ、敵視している人間にここまで言われ、黙っていられるのか。
 瀬戸口はそう思う。そう考える。だけれどなぜか、壬生屋の言葉と瞳に射抜かれたかのように動けぬまま、動悸を速めるだけだった。
 呆然とたたずむ瀬戸口に、壬生屋は嘲りと憎悪で凝り固まった言葉で責め続けるのを止めない。
「叶うことなら、あなたの眼を抉ってやりたいくらいです。そうすればあなたはきっと、わたくしの≪蒼≫に囚われ続けることがないでしょうから」
 そう言い、壬生屋は黒髪をなびかせ踵を返した。動かぬ瀬戸口へ首だけで振り返り、
「でも、わたくしはあなたのように非道でも卑怯者でもありませんから。精々『代用品』で己を慰めることは許しましょう。
 ――けれど、わたくしの≪蒼≫は見つめないで。探さないで。汚さないで。……言いたいことはそれだけですから」
 美しくひるがえる剣のように、颯爽と去っていく壬生屋の後ろ姿。
 瀬戸口は何も言わなかった。
 声をかけることも、激怒することも、罵ることもせず、ただ呆然と自分の脳裏に焼き付いた蒼き残映を思い描いていた。
 空を見つめる。
 花を見つめる。
 目に映る色とりどりのそれらはしかし、今では瀬戸口の心に何の感銘も起こさず、むしろ――
「瀬戸口くん?」
 思わず感じた吐き気に口を押さえたと同時に、かけられる聞き覚えのある声。
 速水の声だ。
「瀬戸口くん、ねえ、どうかしたの?」
 偉大なる魔術、愛した女に似たその男に抱きつき、温もりを得たかった。安堵したかった。心を抑えたかった。
 しかし、今はできない。
 速水の≪蒼≫が怖い。
「……悪い、バンビちゃん。今は、一人にしてくれないか」
 声の震えは隠せただろうか。努めて平坦に言ったつもりだが、背中に感じる速水の視線には、疑問と慈愛が感じられる。
 それすら今は、辛い。
 代用品――そんなはずはない、そんなこと思っちゃいない、だけど。
(どこまでも嘘が下手な人)
 壬生屋の声が心を叩くようにこだまする。
「……大丈夫だ、速水。だから」
 今は、その≪蒼≫で俺を見ないでくれ。
「わかった……でも、何かあったんなら、話してね。力になるから」
「ああ」
 わき上がる罪悪感を押さえ、胸の辺りをつかんでうなずいた。
 全ての≪蒼≫から逃れるように、ただ、瀬戸口はじっと目を瞑ったままその場に立ちつくすだけだった。

  * * *

 浅ましい。
 卑怯者。
 そう言ってやったときの瀬戸口の顔と来たら!
 壬生屋は誰もいない教室で、彼の表情を思い出し、一人ほくそ笑んだ。
 髪をかき上げ、空を見る。青空は茜と薄紫の夕暮れと変わり、絹のような雲を染め上げていた。
 ラベンダーのように薄い紫は、壬生屋の心を満たしはしない。
 溜息をつき、懐から一つのものを取り出す。
 ――アメジストのイヤリング。
 瀬戸口の瞳を彷彿とさせる濃い紫のそれを、壬生屋はそっと指でなぞった。
 吐息が漏れる。歪んだ快感が背筋をなで上げ、恍惚とした笑みが浮かんで止まない。
 これが彼の『瞳』なら、きっともっと悦べるはずだ。
 彼の目を抉ってやりたい。そうすることが出来るなら、自分はなんて幸せなのだろう。
 いっそ、自分の片目を潰し、抉ったあの目を入れるというのもいいかもしれない。
 冷たい宝石などではなく、暖かい彼の瞳を己のものに出来るなら――
 想像に身をゆだね、指先でイヤリングを弄ぶ。
「同じですね、瀬戸口さん」
 浅ましいのも、卑怯者なのも。
「わたくしたちは、同じ」
 いつか彼がそれに気づくとき、瀬戸口は絶望するだろうか。泣き出すだろうか。
 訪れるかもしれない様々な未来に思いを馳せて、壬生屋は声を上げて笑った。





***壬生屋さんの病み度が、どんどん膨れあがっていってます。
    どうしよう。
    原さんになっちゃうじゃない!
    ……原さんと気が合いそうな壬生屋さんでごめんなさい。
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2011/06/12 Sun. 13:47 [edit]

Category:  ●瀬戸壬生

Thread:二次創作  Janre:サブカル

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