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Custom Complex 

4様と坊ちゃん、ビッキーの話。
4様の口調が俺・尊大な物言いになってますので注意。
かつ辛辣なこともいってますが、大丈夫です、バッドエンドではないです。

精神的にすさんだ4様なんて!な方
ビッキー嫌いな方はちょっとリターンプリーズ。
(ほとんど出番はありませんが)
大丈夫な方はどうぞ。

※Custom Complex※


 ――あの、どこかでお会いしましたか?

 そういう彼女の見たことのないほど明るい微笑みに、俺が曖昧に笑い返してみせると、どこか安堵した顔になるその様子に思わず泣き叫んですがりついてしまいそうになった。

  * * *

「あれ? ビッキー、どうかしたのかい」
「マクドールさん!」
 水辺のほとり、優しすぎる風が吹くそこに立つ俺と彼女。そびえ立つ巨城の向こうから、こちら側に向かってくる緑色のバンダナを被った男に向ける笑顔は本当に、真に、心の底から全てをゆだねきっているもので、一瞬背筋が凍りついた。
 が、瞬時に理解もする。『マクドール』と呼ばれた男、あれは――
「マクドールさん、この人、お城に向かってたんです! 仲間になる人なのかな?」
「仲間?」
 男――いや、青年は風に遊ばれた黒髪をなでつけながら、琥珀色の瞳で俺を見る。その目が穏やかなものから驚愕のそれへと変わるのにさして時間はかからなかった。
「……ビッキー」
 まるでビッキーを守るように、一歩、俺の前に歩み出て牽制をかける『マクドール』。
「シュグゥァンで簡単なパーティやってるんだ、行っておいで」
「パーティ! ごちそうだぁ……って、あの、あの、二人はどうするの?」
 無邪気な子供のように手を叩き、喜ぶビッキー。自分が知るそれより、面影がだいぶ様変わりしている。そのことに悲しみを覚えでもないが、今に始まったことではない。ファレナの動乱の時もそうだった。
「後から行くから大丈夫。さあ、早くしないと全部食べられてしまうよ」
「わ、わ、うん! じゃあ後でね、マクドールさん……と赤い人さん!」
 無茶苦茶な呼びように俺は苦笑した。俺が軽くうなずくと、ビッキーはあの、残酷なほど眩い笑みを見せて一礼。長い黒髪をひるがえし、一目散で背後にたたずむ巨城――シュグゥァンとやらだろう、に走り去っていった。
「まったく、テレポート使えばいいのに」
「それで変なところに行ったらどうする気なんだ」
 『マクドール』の言葉にいささか冷たく答えれば、ビッキーを見ていた瞳が再びこちらに向けられた。
 この大陸地方の鳥なのだろう、聞いたことのない澄んだ鳥の鳴き声が、奇妙な合を埋める。
「……あなたは」
「はじめまして、この時代の天魁星、マクドール」
 そう言って、俺は藍玉色の瞳をすがめて見せた。

   * * *

 (困ったことがあったら呼んで下さいね。お手伝いができるかもしれません。できないかもしれません)
 あの手紙は、ビッキー、まだ有効なのだろうか。
 俺はずっと困ってる。
 困り続けて、困り果てて、だから君を捜して旅をするんだ。
 なのに――

 晴れ渡る空を見上げあの日のことを思う。
 少し控えめだけれど、実は明朗で、おっちょこちょいな彼女。茶色の長い髪に、翡翠を溶かしたかのような瞳。テレポートという不思議な技を巧みに使いこなす、不思議な少女。
 それが俺の知るビッキーだ。
 でも今は、……今の彼女は。
「あなたも昔、戦ってきた人なんですね」
 暗くなる思考から自分を呼び覚ましたのは、皮肉にも今のビッキーを知る彼で。
「真なる紋章同士が共鳴しただろう。君の言う通りだ、俺も昔天魁星として戦った」
 言って、俺は手袋を外す。そこにある巻き貝のような痣――それはこの身に宿った真なる紋章の一つ、罰の紋章。今は許しの時を巡り、それほどの力を出すわけでもないが、同じ二十七個の紋章を持つもの同士なら分かるはずだ。同じく『紋章に選ばれた物』なのだと。
 俺は紋章を見せながら、『マクドール』という男をじっと見つめる。彼はどこか、昔仲間だった少年と似た雰囲気をまとっていたから。
「……ソウルイーター? テッドの?」
「!」
 哀れみを浮かべるでも悲しみを浮かべるでもない、だからといって明るさとはほど遠いその瞳が見開かれた。
「テッドをご存じなんですか、彼を……僕の親友を」
「親友」
 真摯な物言いに、俺の顔は多分に歪んでいたかもしれない。親友。親友? あの、誰よりも優しく冷たく孤独な彼が、誰かに心を許した、だなんて。
 あるわけないだろう、そんなこと。
「テッドの親友? お前が?」
「はい、親友です。……唯一無二の」
「昔、似たようなことをいっていた奴がいた。アルドといってさ、何かとテッドを気にかけていたんだ」
 罰の紋章を撫でながら、俺は嗤った。
「最後に『それ』に食われて、死んだけど」
「っ!」
 『マクドール』の顔が青ざめた。思わず手をかばう辺り、予想通りだ。彼は昔、天間星として共に戦った、真の紋章ソウルイーターの持ち主、テッドのそれを受け継いでいる。
 我ながら悪趣味なことを述べているかもしれないが、それでも今の俺の心には嘲りしか浮かばない。
「今、『マクドール』、お前がそれを持っていると言うことは、テッドがお前に託したんだ? 親友、のお前に、そんな禍々しい物を?」
「ち、がっ」
「とんだ親友だ。お前もやっかいな物を押しつけられて迷惑だったろ」
 言った刹那、その漆黒の瞳に赫怒がきらめく。周囲にただようはりつめた空気、それすら今の俺には物足りず、己の心に何も残さない。こちらを睨みつけるソウルイーターの持ち主と刃を交えることになったとしても、負ける気すら覚えなかった。
 ――数百年生き存えさせられ培った経験は、紋章の力をもってしても簡単には埋まらないだろう。
 どこから来るか、と俺が口を閉ざし、ただじっと見つめていると、『マクドール』は賢明にも己の心を律したのか、溜息をついてその拳を納めた。
 怒りと悔しさの波動は未だ痛いほどに伝わってくる。けれど、それより強く伝わってくる、この感情、は――
「そうなるんですか」
「……何が?」
「紋章の力で、不老になって生き続けると、あなたのようになってしまうんですか」
 憐憫。
「すまない」
 つい、謝罪の言葉を口にしてしまう。その感情は己が最も嫌うもので、そしてその台詞は、あまりに自分にとって重たいものだったから。
 神妙な俺の様子に『マクドール』はゆっくり頭を振った。
「違います。あなたは本当は、そんなことを……言う人ではないと思ったので」
 何を、と笑い飛ばそうとした直後、まるでさざ波すらない海のような微笑みが向けられて。
「だって、あなたは」

 ――ビッキーをあんなに苦しげに、でも、優しげに見つめていたでしょう?

 そんな穏やかな笑みは、数年ぶりに自分のささくれた心を丸め込んでしまうほどの威力を秘めていた。

 ひゅるるるる、ひゅるる。
 そんな風に鳥がいななき、同時に肩の力が抜けていく。
「……見て、たんだ」
「はい。ビッキーを見つけた時のあなたの顔がとても……穏やかだったから」
「はは」
 俺は苦笑した。情けなさに目頭が熱くなる。ああ、ああ、なんだこれ。
 海の水にも似た何かがこみ上げてくる、こんなこと、一体幾年ぶりだったろう。
 ――ビッキー。なあビッキー、君だけなんだ。
 父さんも、スノウも、キカもポールもみんなみんな死んでしまった。
 昔のあの頃、悲しみも喜びも潮風に乗せて笑って、時に泣いてなびかせていたあの時代を覚えてくれているのは、ビッキー、君だけなんだ。
 それなのにビッキー、どうして君は俺を忘れているんだ?
 どうしてそんなに残忍に、明るい笑いを見せていられるんだ?
 外見すらも変えて君は、『僕』を忘却したまま生きていくというのだろうか。

   * * *

 それから俺はしばらく、『マクドール』と話をした。昔あった戦いのこと、自分のこと、紋章のこと、テッドのこと、……今のビッキーのこと。
彼はとても穏やかで、久々に誰かへ心をゆだねてしまえるような、そんな包容力を持っていることが分かった。
 彼は今まで見てきた天魁星の中でも、かなり良いリーダーになるだろう。いや、もうなっているのかもしれない。
 話をしていて感じたと言うこともあるが、何よりあのビッキーが信頼の全てを預けているというのなら、俺はそれだけで彼を信用できる。
 湖に手を触れ、久々に無心で水の感触を味わった。潮の匂いこそしないが、何故かここの空間は心地よい。
「彼女に、会いますか?」
 空も橙がかってきた頃、彼は真面目な面持ちで言った。
 その言葉に俺は『マクドール』……いや、シオネという一人の少年の顔を見返す。
「もしかしたら、ビッキーはうっかりその、忘れているだけかもしれませんし」
「ああ、ビッキーならあり得るな」
 だってビッキーだから。
 話をして分かった。安堵した。ビッキーは何一つ変わっていない。昔のおっちょこちょいな彼女そのままだ。ただ自分を忘れているだけの、残酷なほど優しい彼女。
 無心で追い続け、見つけ、それでも俺を忘れて時に怯える彼女に、何度悔しさを噛みしめたことだろう。それでも彼女を追うことしか俺にはできないから、ビッキー、君の心を傷つけてしまうかもしれないけれど。
 今は彼の下で、全てを忘れて休めばいい。
 次に会えた時、シオネの優しさが君の記憶を溶かして、あの潮風だけでも思い出してくれれば、それで良い。
「――さて」
 茶色い髪の彼女と黒い髪の彼女想い描きながら、ただただ祈った。
「俺はそろそろ行くとするか」
 これ以上、ここにいることはできない。ここにいて俺ができることは何もない。……してはいけない。テッドを見捨てた俺がいては、いけない。
「もう行くんですか?」
「泊まれ、なんて下手なことを言うんじゃないぞ」
「……すみません」
 少し照れたように謝罪するその面が、俺に向く。 
「僕もいつか、あなたに追いつきます」
「止めておけ」
「だってそれが」
 ――紋章に選ばれた者の宿命だというのなら、耐えて堪えて、生き続けていくしかないはずです。
 シオネの放った台詞は、いつか自分が誓ったものと同じだった。
 紋章の力の代償、選ばれてしまったという不幸を除いても、それを一度行使したならその後の世界を見届ける責務が、きっとある。
「……シオネ=マクドール」
 俺が立ち上がると、シオネもそれに続いた。凛とした瞳、未来への希望を捨てていないその目に、昔の自分を見た気がして、その愚かしさと強がりに微笑んだ。
「俺の名前はヤム。いつかまた、全てが終わったら……どこかで会おう」
「……はい」
 どうしようか逡巡した後、俺は黙って手を差し出す。手を差し出すなど久方ぶり過ぎて、正しく出せていたかなど分からないが。
 握り返す小さな掌に力を込め、
「ビッキーに伝えて欲しい」
 彼はじっと真摯な顔を崩しはせず、だからこそ俺は言葉を紡ぐ。
「『潮が君を守り続ける』と。ただそれだけを、彼女に」
「必ず伝えます。……絶対に」
「ありがとう」
 笑って、俺は手を放した。ゆっくりと、一度は並んだソウルイーターと罰の紋章が、再び離れる。
「それと――本当に、テッドに申し訳ないと言っておいて欲しい」
 シオネがぽかんと間抜けな顔をして、だがその後すぐに嬉しそうに破顔した。
 テッドがシオネを守った意味、その紋章を託した理由が今なら分かる。
 シオネは俺のように弱くはならない。俺にビッキーがいるように、彼にはずっと、テッドがいる。俺は彼女に癒しと救いを求めていたけれど、そうではない絆と繋がりがあるとわかっただけでも、この時の彼女と天魁星に出会ったかいがあった。
「じゃあ、またいつか。……がんばれよ、後輩」
「はい。先輩」
 最後に軽口をたたき合い、俺たちは笑って分かれた。
 俺の背後を見つめる視線がなくなったことを確認して、夕暮れの空を見上げる。
 ――さて、次はどこに行こう。
 久々に諸島へ帰り、潮風をかぐのも良いかもしれない。
 ビッキーにこの思いが届くことを願って――

(いい風ですね、ヤムさん、テッドさん)
(こういうのもたまにはいいな、……ヤム)

 赤みがかった空の下、いつか聞こえたその声が再びこだました、そんな気がした。






***すみませんうちの4様ちょっとだけ病んでます。
   坊ちゃんはやっぱり天魁星をも導くリーダーであって欲しいなと。
   で、私が4びきフリークなためにこんな感じに。
   ビッキーは無邪気に残酷。
   3のビッキーを見て 退化してる?→もしかしたら子供に返っていくのか?
   と思ったりしたもので、
   彼女はテレポートをして未来へ行く度、チビッキーに近付くと考えてます。

   Twitterでお題を下さった実柑様(@antiqtale)のみお持ち帰り可です。
   ありがとうございました!!
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2012/01/06 Fri. 23:29 [edit]

Category:  ▼幻想水滸伝

Thread:二次創作  Janre:小説・文学

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