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GPM~墓前にいる偽善と、滑稽な私へ(壬生屋→瀬戸口) 

様よりお借りしたお題
『墓前にいる偽善と、滑稽な私へ』
で壬生屋→瀬戸口物。
淡々とした、でも相反して激しい決意をする壬生屋。
その顔は、戦士のものではなくて。
ちょっとだけオリジナル要素として、壬生屋兄が出てきます。
続きよりどうぞ。



◇墓前にいる偽善と、滑稽な私へ◇


 実兄への墓参りに彼岸花を持っていくことを、誰もが不謹慎だと言うけれど、壬生屋は兄が死に、墓が立ち、それからその墓前へ添える花は彼岸花だとかたくなに決めていた。
 ――あの日、彼に出会ってしまった時までは。


 初秋の日、兄が幻獣に殺され、遺体を辱しめられた時より、すでに五年が経過していた。
 戦況は次第に――芝村となった速水たちの圧倒的な戦力で――人間側に有利に動いている。
 だからこそ、出撃が少なく、若干早い彼岸参りに兄の墓参りに赴くことのできた壬生屋の手には、今までとは違う白百合が納められていた。
「……驚いたでしょうか、兄様」
 墓に手を合わせることもなく、壬生屋はどこか自嘲気味の笑みをこぼす。
「赤は壬生屋の色、そう兄様は言っておられましたね」
 裡に秘められた嚇怒の色。無意識に求める戦禍の色。
 そして、己が流し、流させる血の色。
 壬生屋という家にとって、赤は特別な意味を持つ。それだけではなく、彼女自身にも違う意味で特別な色なのだ。


『未央、お前は本当に赤が似合う』


 そう言い、豆が出来た手で優しく頭を撫でてくれた兄。
 兄の言葉は幼い頃の壬生屋にとって、神にも等しいものだった。


『お前は良い壬生屋の女になるだろうて』


 赤い袴、赤い髪結び。そして、真剣で流す赤い血潮。
 兄に誉められたいがために、そして壬生屋という一族の性か、壬生屋は赤を好んだ。兄もまた、そうであった。深紅のウォードレスを着た兄の写真を見たとき、全身が高揚したのを今でも覚えている。
「……だのに、今、わたくしが兄様に捧げる花は白」
 手にした百合をそっと、まるで硝子でも置く所作で墓前に横たえると、壬生屋はそのまま膝を突く。
 そして、そのまま額をも砂利につけた。
「ごめんなさい、兄様。ごめんなさい。わたくしはもう、壬生屋たる資格がございません」
 平伏し、黒髪を土に垂れ流す壬生屋の声は、台詞とは裏腹にどこか遠くから聞こえる谺のような響きがあった。
「壬生屋の天敵、ただの鬼をも殺せぬわたくしを、兄様。どうぞ許してくださいまし」
 あの日、あの時、桜の下で出会った紫の瞳を持つ男――否、人でなしの鬼に、壬生屋は惹かれた。
 悪しき夢を討伐し、その体に剣を刺すべき壬生屋の娘が。
「鬼に恋い焦がれたなど、兄様が聞かれればさぞ、お嘆きになるでしょうが」
 壬生屋はゆっくり頭を上げると、それでも凛とした瞳で墓碑銘を見つめる。
「わたくしは、ただ一人の鬼のために生き方を変えようと考えております」
 ――ざっ。
 刹那、壬生屋の言葉に応えるように、銀杏から葉が数枚舞い落ちる。
 ひらひら、ひらひらと石畳を飾る赤紅葉。それを空色の瞳で一瞥し、壬生屋は立ち上がった。
 そして、笑う。
 壬生屋は作る。
 強いけれど決して、戦士としての顔ではない微笑みを。
「これからはただの未央として生きてゆきますね」
 一人の雌、情念が込められた表情は瞼を一度、軽く伏せただけで消え失せ、次にはいつもの――清廉潔白たる文字を懲り固めたような――壬生屋がいた。
「それでは兄様、また、来年」
 壬生屋はただ軽く両手を合わせると、くるりと踵を返し、振り返ることなく元来た道を戻っていった。
 行く手を塞ぐような形で散らばっていた赤紅葉すら、迷うことなく踏みしめて。

(兄様は、壬生屋のためでも兄のためでもなく戦うわたくしを、笑うかしら)
 ――風はただ、赤紅葉と墓前の百合の花弁を空しく揺らし続けている。










***うちの壬生屋はヤンデレ気質です。
    壬生屋の女、という呼び方が妙に気に入っている今日この頃。

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2010/04/15 Thu. 23:17 [edit]

Category:  ●瀬戸壬生

Thread:二次創作  Janre:小説・文学

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